老子は「足るを知れば辱めからず。止まるを知れば危うからず。」と仰っています。つまり「限度を心得ていれば危うい目に会うことはない。行動を起こす時に一番大事なことは己を知る。」人間たまたま時流にのって成長し始めると自分(会社)を見失う。世の中の転機時にどの様な行動をすれば良いのか、深く見つめ直し行動する時ではないかと感じます。振り返れば我社も平成元年のバブル期に、ご多分にもれず不動産投機で良い勉強をさせて頂きました。始めは土地媒介をする気などなく、高度成長により上下水道工事の受注が増えて残土捨て場探しに苦労をしていました。休耕田を探しに行くと家も古くなったので新築したいとか、子供を東京の大学に行くのでお金が必要だとかで売却話になりました。残土捨て場の確保の為に土地を購入し残土を捨てて整地をすると、住宅会社が3倍ぐらいの価格で買いに来るようになりました。ご多分にもれず社内に不動産事業部を創設しまし、時流に乗り宅地造成や土地転がしをして会社は成長し始めました。私は小銭を掴み生活態度や行動が傲慢になり始めて行きました。ある時地銀のT支店長が年商10億円の土建屋なら、度胸さえあれば誰にでも出来ると言われました。気短な私は「俺の力でここまで頑張って来たのに」他人であるT支店長に言われた事で頭にきてしまいましたが、時間が経ち冷静になると、私自身もどうもおかしい事に気がつきました。貧困な家庭で育ち学歴も無い私が、零細企業の社長になりこの様な生活をしているのは、本当に自力なのかと問いかけるようになり、不動産の土地媒介から撤退をはかりました。もしあの時にT支店長との出会いが無かったら、と思うと冷や汗が出てしまいます。今回の不況は100年に一度と言われ、どの業界も大苦戦をしています。もう一度あの時に振り返り、自分で自分を律して会社経営をしょうと思います。